評判馬

 POGは難しい・・・評判馬が評判通りに走らないから。
評判馬というのは毎年、各情報誌で取り上げる大見出しになる様な馬・・という定義としよう。
その評判馬は毎年、5〜10頭ほど出現する。
評判馬=ドラフト上位指名馬 という事になる。
つまり10名程でPOGをやっていれば
その年の評判馬は1位指名で振り分けられる事になる。
私の00年からの1位指名馬を8頭並べてみる。
00年 アドマイヤセレクト(この年から始まったセレクトセールでの1番高値馬)
01年 Golden Pond'99(クロフネ以上と言われたマル外)
02年 ボレロ(SS×バレークイーン産駒)
03年 ピサノバーキン(前年2歳女王の全妹)
04年 ラパルースベイ(クロフネの母に初のSS)
05年 ギーニョ(ドバイWC2着したトゥザヴィクトリーの全妹)
06年 ニュービギニング三冠馬ディープの半弟)
07年 ファリダット(スプリント女王ビリーヴの仔)
ハァ・・・なんじゃコレって馬もいますなぁ〜。カッコ内を読まなかったら、
ホントにドラフト前に話題になったの?って、今じゃ忘れられた存在の馬ばかり・・。
まだ期間終了していないファリダットを除いた7頭での期間内勝ち上がりは4頭。
この7頭での期間内勝利数はたったの5勝。
あのディープの弟、ニュービギの期間内2勝が光って見える!
これじゃ駄目じゃん。
他の人達の1位指名も調べてみたが、勝ち上がったのは、
00年 スパルタクス
01年 ヤマニンセラフィム
02年 リンカーン、バントライン、ブラックカフェ
03年 エアシェイディブラックタイドネゴシエーター
04年 ホワイトペッパーディープインパクトニューヨークカフェグッドネイバー
05年 キャプテンベガアドマイヤメイン
06年 アドマイヤオーラフサイチホウオー、ヴェルトマイスター
と、なる。
傾向として近年程、勝ち上がり率が良くなっている。
情報が正確になって来たと言えるかも知れないし、メンバーの馬選びが上達したとも言える。
が、この中には1位と言えど先程の評判馬の定義から外れる馬もいる。
ドラフトで負けて、泣く泣く1位に押し上げられた馬もいる。
前にも書いたが、ディープなどはドラフト時には「馬が小さい」と言われて嫌われていたし、
フサイチホウオーなどは同じ馬主の関口氏所有馬の中ではザサンデーフサイチに次ぐ存在。
実質、私の馬も含めても、評判馬の1位指名馬で期間内、活躍出来たのはこの7年で
ヤマニンセラフィムリンカーンアドマイヤメインアドマイヤオーラの4頭ぐらいだろう。

 ならば評判馬を避ければ良いではないか・・という事になる。
が、心境として我々、素人では無い「馬のプロ」が見て書いた記事や、
実際に馬に携わる牧場関係者のコメントなどを信じるしか手が無いのである。
だが手段はあると思う。
ようするにドラフト前の時点で「この馬は凄い!欠点は何も無い!」なんて言われている馬は、
「2歳のドラフト前のレベル」での話だという事。
つまりこの時期の馬がこのままでクラシックを勝てるかといえば結果はNOである。
3歳春までにいかに成長するかがカギであると思う。
いくら評判が良くても成長の伸びシロを残している馬を選べ・・という事になる。

 血統から成長力を研究するのもいいと思うし、
相馬眼を磨くのもいいかも知れない。
が、「この馬主さんの馬はいつもいいぞ」とか「この厩舎に入る予定の馬がいい」とか、
最悪なのは「この記事を書いた記者は信用出来る」とかだけは止めて貰いたい。
記者達の分析までしてしまうと「人選びのPOG」になってしまうから・・・。

 ちなみに私の記憶を呼び覚まし、各年の1番評判馬を分析していこう。
00年 アドマイヤセレクト 血統:父SS母ファデッタ兄弟モンテカルロ(砂重賞馬)所属:橋田厩舎 評判:セレクトセール1番高値馬
01年 Golden Pond'99   血統:父ミスプロ母Golden Pond兄弟不明 所属:松田国厩舎 評判:「クロフネ以上・種馬にする」松国コメント
02年 モノポライザー   血統:父SS母ダイナカール兄弟エアグルーヴ(GⅠ馬)所属:橋口厩舎
03年 ネゴシエーター   血統:父SS母フラッシュストーム 所属:白井厩舎 評判:海外クラシックへ挑戦させる
04年 ラパルースベイ   血統:父SS母ブルーアヴェニュー兄弟クロフネ 所属:松田国厩舎 評判:芝のクロフネ
05年 キャプテンベガ   血統:父SS母ベガ兄弟アドマイヤドン(GⅠ馬2頭) 所属:松田薄厩舎 評判:兄弟同様
06年 ザサンデーフサイチ 血統:父DID母エアグルーヴ兄弟アドマイヤグルーヴ(GⅠ馬)所属:池江寿厩舎 評判:3億円馬
 以上の7頭中4頭がGⅠ馬を兄弟に持つ。よって過大評価をされたモノと思われる。
そしてアドセレ、ネゴシの様に父そっくりな馬体・海外でも通用する・・・なんてパターンは
2歳春時点で馬体が完成されていた。2歳春には最強クラスかも知れないが、そこからの成長が無かった。と見るべきか。
残りの1頭Golden Pond'99は調教中に故障し予後不良となり能力は謎のままだが、
クロフネ以上・・」というコメントから、2歳春の時点でこの馬も完成されていたのではないかと憶測される。

 結論として、GⅠ馬の兄弟程、慎重な情報収集をし、分析しなければならず、
雑誌での評価を1段下げるぐらいでいいかも知れない。
そして2歳春時点で馬体が完成された超早熟馬を見極める。
これは前記のGⅠ兄弟とは反対で、GⅠ兄弟がいないのに、セールなどで高値で取引された馬は
高値を出したくなる程、馬体が完成された馬・・と思っていいかも知れない。
よって血統はいいが、ほどほどの金額で取引された様な、まだ未完成な馬ほど3歳になって化ける・・と考えていいかと思う。

 では最後に期間内活躍馬の分析もしておきましょう。
●00年アグネスタキオンジャングルポケットクロフネ
SSの良血でアドセレとの比較では1枚落ちる評価のタキオンが2歳後半からグッと成長したパターン。
ただしアグネスの馬はこの年を最後に2歳馬情報を流さなくなり、馬主のPOG嫌いは有名。
ジャンポケはSSに押されノーマークの存在。2歳夏から始動するなど王道とはかけ離れた存在だった。
クロフネはマル外比較ではミニオンスズカの影に隠れる存在だった。よってこの馬も期間内成長した1頭。
●01年タニノギムレットシンボリクリスエス
ギムレットはSSに押され人気が落ちたBT産駒故に、逆に血統で過小評価をされていた。
クリスエスはGolden Pond'99の影に隠れたマル外だったって事か。この頃は藤沢和厩舎はPOGでは不人気だった。
●02年ネオユニヴァースサクラプレジデントピースオブワールド
ユニヴァースはSSながら兄弟が連続コケた後だけに過小評価された馬だった。
サクラは評価通りに走った1頭。サクラと小島太故に好き嫌いが分かれた。
ピースは良血血統ながらほどほどの金額、ほどほどの厩舎。B級SS産駒の扱いだった。
●03年キングカメハメハダイワエルシエーロダンスインザムード
キンカメは評価は良かったがキングマンボ産駒故に砂馬扱いされあまり人気にならなかった。
ダイワは故障持ちの母産駒が故障せずに走ったパターン。能力は誰もが認めていたが、なかなか手を出し辛い。
ダンスは毎年人気になるが近い兄弟にハズレが続き、過小評価された。
●04年ディープインパクトアドマイヤジャパン
前にも書いたが、ディープは馬体が小さく、ノーザンFの3強の中では3番目扱いされていた馬。
それ故に1・2番の馬は早熟で、ディープは成長した例。
ジャパンはビワハイジの初仔だけに兄弟実績無し。母はエアグルーヴの影に隠れた存在だが2歳時にはグルーヴに勝っていた。
パターン的には早熟っぽいが良い成長を遂げた。
●05年メイショウサムソンアドマイヤキッスフサイチリシャール
サムソンは父とTMオペラオーの近走産駒実績不振もあり、完全なノーマーク。情報もほとんど無し。
アドキスは兄弟良積は無かったが、評判通りに走った1頭。
リシャールは産駒実績のある母ながら、クロフネの初年度産駒だけに評価を落していた。
●06年ウオッカダイワスカーレットフサイチホウオー
ウオッカは前年にコケたギムレット産駒だけに不人気。血統もマイナー。
が、馬主は能力を解っていたそうで有力厩舎に預ける。完全に情報不足だった馬の1頭。
ダイワは兄メジャーが古馬で活躍するも3歳はフロッグ視されていたが皐月賞馬でもある事を忘れていた。
高い能力で今後も成長する血統であろう。
ホウオーはジャンポケの初年度産駒だけに割引して見られていた。

 以上の事から、ドラフト前の「完全な評判馬」は1頭も走っていない事が解る。
やはり「評判馬」=「超早熟馬」だという事が解る。
だが、私でも分析できる事だけに、雑誌の記者達ももう解っている事かも知れない。
よって情報の分析はやはり個人個人で行なうべきである。
雑誌の記者達もたとえ早熟馬であっても「評判馬」に間違いは無いのだし、
どう成長するか解らない馬を勝手に「クラシックホースに成長するハズ」なんて書けないから。

 こんな事、書いてると今年も早く2歳馬情報が出てこないかなぁ〜と待ち遠しい。
まだ今期を捨てた訳ではないが、来期ドラフトが待ち遠しいなぁ・・・!