GⅠ奪取!

 カメオがGⅠを勝った。
そう、07年のNHKマイルカップにて、我がピンクカメオブービー人気ながらGⅠを征した。
私にとっての期間内、初GⅠ奪取の記念すべき勝利である。
ピンクカメオ・・・この名前から牡馬と思われがちだが牝馬である。
GⅠ馬ブラックホークの半妹にあたる良血馬だ。
この名前のせいで下位指名で取れた。
良血牝馬は繁殖でいい仕事をする・・って程度の期待での指名だったが充分過ぎる働きである。

 この面白い名前のせいで、うちの娘もこの馬のファンである。
デビュー戦からグリーンチャンネルを見て、ずっと一緒に応援して来た。
娘は小学4年生ながら私の競走馬育成ゲームのウイニングポストを勝手にやっていて、
結構、競馬に詳しくなった。
このゲームのおかげで所有馬がGⅠに進む事の難しさも解っている。
ちなみに好きな馬はシンボリルドルフだそうだ。

 カメオがGⅠに出走する・・それだけで凄い事だ。
だがGⅠ初出走の阪神JFでは馬群に沈んだ。
2度目の桜花賞では見せ場すら無かった。
3度目になるNHKマイルC。人気は無かった。娘も応援はしても又、惨敗を予想していたと思う。
けど私は良血故に大一番の爆発力を期待して、馬単1着流しの馬券を買って見ていた。

 レースでは4角を最後方大外を廻るカメオがテレビで映った。
「よっしゃ!そこから1頭でも多く抜けっ!」と娘と応援するが、
ブービー人気の馬はテレビではあまり映らなくて、どの程度追い抜いているか解らなかった。
どの位、直線を進んだか・・突然、解説者がカメオの名を呼び、テレビに映った。
カメオがグングン加速し他馬を追い抜いている。
「おおっ!これなら掲示板もあるかも!」とばかり応援した。
娘も興奮気味に大声をあげて応援していた。
が、テレビに映った時、すでに3着馬を抜いているシーンだった。
「先頭のローレルゲレイロピンクカメオが襲いかかる〜っ!」という中継アナの解説に
今、カメオが先頭争いをしている事を知った。
カメオがゲレイロを差した。正に感動の瞬間だった。
他馬とは脚色が違う。もう後ろからは何も来ない。
娘と抱き合ってゴールの瞬間を喜んだ。
何度も万歳三唱した。妻は「何を騒いでいるの!」と怒った。
何年振りだろう・・・笑い泣き以外で涙が出た事は・・・。
っていうか競馬見て涙が出たなんて初めてだ。娘も泣いていた。
いつもなら馬券が当たった時、配当確定までの時間が長く感じられる。
けどこの日は喜んでいる間に確定していた。
しかも馬単は8万馬券。2着に1番人気の馬が入ったというのに・・!
正直、馬券的にはマヒしてしまった私の感覚では8万程度でそんなに喜ばないが、
この日は全てカメオのおかげ!
アルコール類は飲まない我が家では外食でお祝いである。
怒っておきながら妻もチャッカリ参加して来た。ずうずうしい野郎だ。

 期間 内・外の差はあれど、他にもGⅠ勝ちの経験はあるが、これほど感動した事は無い。
NHKよりもっと格差のある菊花賞を勝ち取ったザッツザプレンティの時には
色々と因縁めいた話はあったものの、ここまでの気分にはなれなかった。
なんでだろ???   不思議な馬である。

 話は変わるが、ザッツの話が出たからこれも触れておこう。
ザッツザプレンティ。古くはマニックサンデーという重賞馬の姉がいたが、
その全弟のウインシュナイトという馬を私は所有していた。
だからその流れでザッツも所有した。
兄のウインシュナイトはデビュー戦3着。レース中に骨折していた。
3歳秋に復帰戦に勝利。が、なんと連戦でGⅡ毎日王冠に出走した。
勝馬がいきなり連戦で古馬GⅡに出走である。ムチャクチャである。
そこに同期のダービー馬、ジャングルポケットも出走していた。
結果は5着ながらジャンポケに先着。能力の一端を見せつけた。
が、この無理使いが応えたか、又もや故障。
この後も復帰はするが、脚元が弱く、喉も弱かったそうで
パッとした成績を残せずに引退。
シュナイトの能力が弟にもあり、故障が無ければ・・の思いでザッツを所有した。

 ザッツは順調に勝ち進み2歳時にはラジオたんぱ杯2歳Sを勝ち重賞馬となった。
3歳になりクラシック緒戦の皐月賞を迎えた。
この日、私は前にも話が出た、競走馬育成ゲームのウイニングポストを使った
仲間内での大会をしていた。よってその仲間の家で皐月賞はテレビ観戦した。
中山のトリッキーなコースは前で競馬が出来るザッツに味方すると思い、
馬券も高額突っ込み応援した。
4角で同じ社台の勝負服のネオユニヴァースとザッツは交錯した。
そこから見間違えて、ネオを目で追い応援した。
ネオユニヴァース皐月賞を勝った。
私はザッツが勝ったと間違えて、皆の前で思いっきりガッツポーズをしてしまった・・・。
会う度に仲間からは「あの時の勝ち誇った表情でのガッツポーズは忘れられん」と笑われる。
それ故に是非ともザッツには何かタイトルを勝ち取って欲しかった。
ダービーは惜しくも3着。
だが、この3着があったからアンカツ菊花賞でのザッツの乗り方が解ったそうだ。
ザッツザプレンティ菊花賞を征した。ザッツがGⅠ馬になった。
だからあの時の過ちは皆、忘れてくれっ! たのむ!!